コツコツ職人 Blog

きもの警察とは、管轄が違います。
Threadsに、こんなことを書きました。
「なりたての伝統工芸士ですが、
きもの警察の者ではありません。
別班でもありません。
今日は、反物の染みだけを追っています。」
軽く書きましたが、いわゆる「きもの警察」の話を目にするたび、着物業界に関わる者として、少しつらい気持ちになります。
せっかく着物を選び、自分で着て、外へ出た人がいる。
慣れない着付けなら、衿元が思うように決まらない日も、季節の決まりごとや取り合わせに迷うこともあるでしょう。
それを、知識のある人が正しさを掲げて指摘する。
オンラインで、わざわざお教え差し上げる。
正しいことを知っている人ほど、してはいけないことがあると思います。
知識は、相手を恥ずかしがらせるためのものではありません。
そのひと言で、もう着物を着たくないと思わせてしまったら、着付けをひとつ正す代わりに、着物を楽しむ人をひとり減らすことになります。
そして、着物ではなく、人の心に傷をつける。
私、直せないよ。
私も、自分で着物を着ることに不慣れだった頃がありました。
おそらく、おかしなところもあったはずです。
けれど、知らない人に呼び止められたり、着姿を直されたりしたことは一度もありません。
ありがたいことに、私は幸せでした。
少なくとも、私の周りにいる職人や着物業界の方々は、そんなふうに着物を見ていません。
仕事では細部まで厳しく見る人たちが、自分で着るときは案外おおらかです。
着方も、合わせ方も、それぞれ。
リュックを背負ったり、革ベルトやスニーカーを合わせたり。
私も、伝統工芸士だからといって、いつも寸分違わず着付けているわけではありません。
着物は、知識を試される制服ではなく、着る人のものです。
着たいと思った人が、気負わず袖を通してくれる。
それが嬉しい。
間違いを見つける目より、着物で出かけた一日を喜べる目。
そのほうが、着物にとって健やかな正しさだと思います。
最後に、Threadsには書かなかったことを、ひとつ。
「いわゆる伝統工芸士ですが、
きもの警察?
それ、食べられるの?
小骨、多そうですね。」
