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時間と染める。蒸し屋だからできる、しごき染め

時間と染める。蒸し屋だからできる、しごき染め

いちおう伝統工芸士ですが、今日は、いち受講生。

京都・西京極の蒸し工場「広海」さんで、「京友禅しごき染ワークショップ」に参加しました。

このしごき染めを体験できる蒸し工場は、現在京都で一軒のみだそうです。

伺うのは、久しぶり。

使うのは、着物にも用いられる正絹の白生地。好きな型と色を選び、自分だけの一枚を染めます。

もうそこから選びたい放題。だが、止まっている時間はない!

型を選ぶ → 柄へ色を挿す → 防染糊を置く → 乾燥 → 地色をしごく → 挽き粉をまく → 蒸す → 水洗・乾燥

選んで、挿して、守る

好きな型を選び、柄の好きな箇所へ色を挿します。同じ型でも、色の置き方で表情はさまざま。

白いままという選択をされる方も。それも素敵。

そのあと、色を挿した部分や白く残したい柄へ防染糊を置きます。地色をせき止める、大切な境目です。途中には乾燥も入り、染める前から知られていない手間が重なります。

速く、むらなく、地色をしごく

染料を混ぜた色糊を、駒ベラで生地全体へ広げます。しごくように染めることから「しごき染め」。型染めの京小紋などで、地色を染める際に用いられてきた技法です。

色糊を広げる時間に差が出ると、染料の浸透にも差が生まれ、色むらにつながります。だから、手早く、糊の厚みは均一に。

生地全体を一気に染めながら、精度を崩さない。職人の速さは、卓越した技術そのものです。

そして、作業は軽やかにいとも簡単そうに見えるのです。

地色のあとに、米松(べいまつ)の挽き粉

色糊をしごいた直後、濡れた生地へ挽き粉(ひきこ)をまきます。生地を重ねて蒸す際、染料が滲むのを防ぐためです。

使われるのは米松。この工程のために、挽き方まで指定されているそう。もはや、コーヒー豆の世界?仕上がれば洗い落とされる、小さくも欠かせない存在です。

蒸し屋だからできる、時間との勝負

しごいた生地は、濡れているうちにすぐ蒸します。染めと蒸しを間を置かずにつなげられるのは、蒸し設備のある工場だからこそ。

蒸しで色を発色・定着させたあと、水洗いで糊や余分な染料を落とし、乾燥へ。ワークショップでは工場も見学し、自分の一枚が仕上がるまでを見届けられます。

仕上がるのは、約40cm×100cmの正絹の一枚。蒸しと水洗いを終え、その日のうちに持ち帰れます。

三時間かけて、最後は自分の手元へ。
作品だけでなく、染めた時間まで持ち帰るような体験です。

染めたら、すぐ蒸す。
その一瞬を、確かな技術と速さでつなぐ人がいる。

同じ産地で働く者として、
私は、この仕事を誇りに思います。

見学だけでは終わらない、蒸し屋ならではの染色体験。
染めを本格的に経験したい方には、特に楽しんでいただけると思います。

工程ごとに、職人さんが優しくサポートしてくださるので、初めての方もご安心を。

ちなみに、駒ベラはいけると思っていたのに。

職人なのに、全部やり直してもらい、しっかり手伝っていただいたのは私です。

京友禅しごき染ワークショップの内容と予約を見る

※「京友禅しごき染ワークショップ」は広海さんの公式体験名です。開催日・料金などは、予約前に公式ページで最新情報をご確認ください。